2009年1月17日土曜日

男たちの旅路 第2部 第二話 冬の樹

◆スターに殺到して倒れた子の親に対し
 「巻き込まれた人間に責任はありませんか。私は娘さんたちを川の水とは思わない。責任は両方にあるといっているのです。あなたは一方的に私たちを非難する。自分の娘に悪いところがなかったか、とは考えない。私が親なら娘をしかる。なぜあの程度でわけがわからなくなるのですか。甘えているからです。わけがわからなくなったといえば許してくれる親がいるからです。止めきれなかった警備員を悪いといってくれる親がいるからです。群集心理などという言葉で納得してはいけない。娘さんの責任をきちっと示して、しからなくてはいけない。自分を棚にあげて権利の主張ばかりしてきたんだろう。その子供が自分を棚にあげてもしかたがない。私の正義だ。娘さんをしかりなさい。」

◆娘が帰ってきたらどうするかと聞いて
 「私は、どういう顔にすべきかなどときいているわけではありません。どういう顔にしたいかと聞いている。抱きしめたいか、張り倒したいかと聞いたんです。そんなこともわからんのですか。あなたも40を超えているのでしょう。なぜそう態度がきまらんのです。態度がきまらないということは、生き方がきまっとらんということだ。頭から人を非難したかと思うと、たちまち卑屈にな顔になる。生き方がきまっとらんから、娘を満足にしかることもできんで、どなったり、甘やかすことしかできんのだ。私はこういう人間たちが子供の親だということががまんならん。いい歳をしてまだ子供じみていて自分中心だ。子供を本当に愛することを知らん。子供の生活に本当に心をよせたことがあるか。どんなことを考え、どんな寂しさをもっているか。本気で想像したことがあるか。子供はもう一人前だなんだと言って子供から逃げているんだ、あんたがたは。勉強しろとおどかす以外、子供を教育することを知らんのだ。自分を愛し取らんから、子供もあいすることができんのだ。あの子は、あの子はまだ一人前じゃないんだ。しかってやらないといかんのだ。抱きしめてやらなきゃいかんのだ。私にはわかるぞ。あの子が、どんな思いで街を歩いているのか。私にはわかる…しっかり抱いてやれと言っているんだ…帰ってきたら…しっかり抱いてやれといっているんだ…」

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