2011年2月21日月曜日

チュニジアで蝶がはばたきエジプトで嵐が起きた

「北京でチョウが羽ばたけば、やがてニューヨークで嵐が起きる」というのは複雑系の特徴を示す有名な言葉だ。今回のエジプト政変はまさに、チュニジアの青年の焼身自殺がその”チョウの羽ばたき”であったろう。


 では、”何故そのようなことが起き得るのか"? それを理解するには非線形方程式の解法である”最急降下法”を理解していないといけない。一般に方程式が解析的に求めることの出来るものは、4次以下の代数方程式か特殊な方程式に限定される。最急降下法は、関数の最小値を探索する勾配法のアルゴリズムの一つで、値を序々に変更していくことにより最小値を見つける。


 この解法と複雑系を結びつけたのが、ニューラルネット研究で注目された”バックプロパゲーション”学習アルゴリズムである。”バックプロパゲーション”アルゴリズムは、神経回路網の伝達パターンで要素間を結びつけ、その強度を期待する出力をもとに変化させながら学習するアルゴリズムであるが、このアルゴリズムは、この最急降下法と等価であることが数学的に証明された。


 つまり、自然界に見られる複雑系の振る舞いは、非線形方程式を解く手法と共通する点があるということだ。


 最急降下法では、必ずしも最小値を見つけることができない。それは探索していく過程で局所解に陥ることがあるためである。この局所解から逃れるためには、その解に至る変数をゆらして別の道を探索させることが必要となる。局所解から逃れるため大きくゆらす必要がある場合もあり、少しのエネルギーで最小値まで一気に達する場合もある。


 チョウが羽ばたき台風に至るとは、まさに少しのネルギーで坂を転がり落ちるように状態が変化する、複雑系の性質を言い表したことばである。


 話を政治にもどすならば、現代の世の中の状況、政治的、経済的変化は、冷戦崩壊からくる複雑系のエージェント数の大きな変化から来ているということができる。これまで東西で2分化された世の中で均衡されていた複雑系の解が、冷戦崩壊により市場経済における参加者数が倍になったことで、変数が倍、組み合わせでは数えられない程の変化が発生したということにある。


 米軍などでは、軍を複雑系と捉え、決定論ではない、コンセプトと現実とのスパイラルマネジメントを通じた技術導入と、相互作用の質的向上を追求するマネジメント論の中で、組織を運営している。


 一方政治の世界では、変化そのものは認識しているものの、そのマネジメントをどのように行うべきかの理解、個々の繋がりを見ていても、全体は全くことなる振る舞いをするという21世紀の複雑系の理解を十分に獲得しないまま運用されているのが現状である。


 しかしながら、世の中はインターネット技術の普及とともに、冷戦構造崩壊以上の様相変化が起きている。そのため、それに気づかず、急速な変化をする世の中をマネジメントできない指導者が退場しているというのが、エジプト政変の今である。
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