従来は難しかったひざ軟骨の人工培養技術を、東京大学などが開発したそうです。
現在はひざから採取した健康な軟骨細胞を培養した後、患部に注入する治療が試みられているが、培養中に病的なたんぱく質を持つ異常細胞ができる問題がありましたが、ポイントは、体内と同じ高圧環境下で培養する、というものです。
東京大学大学院工学系研究科の牛田多加志教授は、関節内で体液の入った袋に包まれた軟骨には、歩行時に約50気圧の圧力がかかることに着目。プラスチック製の培養袋にウシの軟骨細胞を入れ、体内と同じ水圧をかけて4日間培養したところ、球状の正常軟骨(直径1ミリ)ができたそうです。
ヒトの細胞で球状軟骨を多数作り、体内の軟骨と同じ形の型に詰めて成形すれば、移植可能な人工軟骨が作れる可能性があります。
共同研究者の東大病院整形外科・脊椎(せきつい)外科の中村耕三教授は「減量や運動が治療の基本だが、傷んだ軟骨を再生医療で治せるようになれば治療手段が増す」としています(2007年6月14日 読売新聞)